『ITIL はじめの一歩 スッキリわかるITILの基本と業務改善のしくみ』を呼んだ
はじめに
ITILとかITSMってよく聞くし、システム開発に携わる者としてはある程度知っておかないとと思って数年が経っていた。
たまに「ITSMとは」とかでググってみるものの、「5つのカテゴリがあって云々」みたいな上辺だけの説明で、つまりどういうこと??という気持ちだった。
というわけで初心者にもわかりやすい本はないかなーと調べて、この本を読んでみたので感想とメモを書き下す。
読書メモ
全体概要
「ITIL・ITSMって何?」という疑問に対して、ITとは別の業務を通して解説してくれる本。
前半は八百屋だったりとか旅館の業務でITIL的要素を取り込んでみたらどうなる?のストーリー仕立て。
後半はもう少しITILに踏み込んで解説。
自分の言葉でITILの中身をまとめると↓な感じ。あってるかな。
お客様への価値提供を継続的に行うために、サービス提供に関わることすべて(サービスそのもの、将来の計画、お金、サービス提供の仕方、トラブル関連 等々)をいい感じに管理すること。そのベストプラクティス。
読みながらとったメモ
- ITIL(Information Technology Infrastructure Library)とは「ITサービスマネジメントのベストプラクティスをフレームワークとしてまとめた書籍群」 = 「IT(情報技術)を本当の意味でビジネスに活かすための世界中のノウハウをまとめたもの」
- ITに限らず、「サービス」を提供するものであればなんでも適用できる(多分)
- ITILが重視しているのは「お客様に価値を提供し続けること」
- お客様にとって価値のあるものを、継続的に提供できるかどうか
- サービス: 顧客が特定のコストやリスクを負わずに達成することを望む成果を促進することによって、顧客に価値を提供する手段
- サービスの価値:
- 有用性:目的に適していること
- 保証:使用に適していること
- サービスの価値:
- 「お客様の求める価値」を提供し続けるためには 見える化→PDCAサイクルの流れが必要
- プロダクト(良いモノ)ではなくマーケット(顧客の望むもの)を意識したサービス開発→ヒアリング のサイクルを回す
- 計画的にサービス提供をするための6つの管理(サービスストラテジ / サービスデザイン)
- 需要管理: 需要予測とか、顧客はどんなモノ(コト)を望んでいるか
- サプライヤ管理: 協力会社とか
- サービスカタログ管理: お客様に提供しているもの(外部向け資料)
- サービスポートフォリオ管理: 自分たちの持つサービス(未来含む)。中長期的な投資対象を見極める(内部向け資料)
- キャパシティ管理: 需要に対してどれくらい供給できるか(量)
- 可用性管理: 需要に対してどれくらい供給できるか(質)
- 安定したサービス提供をするための7つの管理(サービストランジション / サービスオペレーション)
- インシデント管理: 何かトラブルが発生したときにどうするか
- 問題管理: トラブルの根本原因をどうするか
- 要求実現: 顧客の求めていることはなにか、それをどう実現するか
- リリース管理及び展開管理: 新しいサービスとかをどうやって実装するか
- 変更管理: サービスの何をどう変更するか(多角的な視点で判断する)
- サービス資産管理および構成管理: サービスの構成要素はなにか
- ナレッジ管理: 属人化の排除/チームとしてのノウハウ蓄積
- 「管理」ってどうしたらええねん
- プロセスを定める(標準化)
- 組織に展開する
- データを集める
- 改善していく
- あらゆる組織は「戦略層」「戦術層」「運用層」の3つで構成される。
- 戦略層: 組織の中長期的な方向性とリソース配分を決める層
- 戦術層: 戦略を実現するための具体的な施策(計画)を立案する層
- 運用層: 戦術層で決めた施策を実際に実施して実現する層
- ITILはこの3つの層をベースに、サービスライフサイクルを以下の5つに分類している。これを継続的に回す。
- サービスストラテジ
- 顧客との友好な関係性を築く。お客様(IT部門からしたら事業部門)が何を考えているかを理解する
- サービスに対する需要を理解する
- コストを管理する(予実管理、課金)
- 投資計画を立てる
- サービスデザイン
- 具体的な計画をたてる
- サービスレベルを設計して合意する
- 最新のサービスカタログをメンテする
- 必要な可用性を定義する
- キャパシティを定義する
- リスク・セキュリティを管理する
- サプライヤを管理する
- 上記をきちんと調整する
- サービストランジション
- 新しいもの・変更したものをうまいこと運用に乗せる
- 変更管理・リリース管理・構成管理
- 属人化の排除
- サービスオペレーション
- サービスを実際に提供する
- 問い合わせとかに迅速に対応
- インシデント対応
- 根本解決
- イベント(正常/異常)管理
- アクセスを管理する
- 継続的サービス改善
- サービスストラテジ
- ITILは進化し続けている。
感想
ITILってたぶん特別なことではなく、SIerだったら1年目とかの研修とかトレーナーからのアドバイスで知ることだなと思った。たぶんそれをもっと体系化したもののことなんだと理解した。
たぶん自分が新卒で研修を受けていたときは「ITIL」「ITSM」って言葉は使われてなかったように思う(聞いてなかっただけかもしれないけど)。でもリリース管理とか変更管理、問題管理なんて言葉は聞き馴染みがある言葉だった。
ITILに従ってすべてのシステムが運営されてるってことはないし、100%従わなきゃいけないというよりは自分の環境に合わせてある程度カスタマイズするんだろうけど、「これが今考えうるベストプラクティスなのだ!」を理解するのは大切なことだと思う。なのでこの本に限らず継続的に勉強したほうがいいな。
資格制度もあるし、挑戦してみてもいいかもしれない。
また、前半はIT業界で働く人以外でも読みやすいし、学びになることは多そう。妻に勧めたい。